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医療法人一実会 大田医院

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診療のご案内:皮膚科 Medical

皮膚疾患の例

アトピー性皮膚炎

先天的に皮膚のバリア機能が弱く、IgEを産生しやすい体質(アトピー素因)を持つ方が、外からの刺激や生活環境などの後天的な要因を受けることで、かゆみを伴う湿疹を繰り返す病気です。年齢によって症状は変わり、乳幼児期はじゅくじゅくした湿疹、小児期は乾燥した湿疹、成人期は皮膚が厚くなる湿疹(苔癬化)が起こりやすい傾向があります。10歳までに自然に症状が落ち着くことが多い一方、思春期や成人期まで改善せずに続く場合も増えています。
治療は保湿剤で皮膚を保護しながら、副腎皮質ホルモン薬やタクロリムスなどの炎症を抑える外用薬と、抗ヒスタミン薬の内服が基本です。
これらで効果が十分でない場合は、JAK阻害剤や免疫抑制剤の内服、デュピクセントの注射など全身療法を検討します。

蕁麻疹

蚊に刺されたときのように赤く盛り上がった膨疹(ぼうしん)が、突然出るのが蕁麻疹です。食事が原因であることは1~4%ほどで、約7~8割は原因不明とされています。
まずは抗ヒスタミン薬の内服で様子をみますが、効果が不十分な場合は薬を倍量にしたり、または変更したりして最も効果がある薬を探していきます。6週間以上症状が続く場合は慢性蕁麻疹と診断され、しばらく内服を続ける必要があります。
 

乾燥肌

乾燥肌とは、皮脂や水分が不足して肌がカサカサしている状態のことで、乾皮症とも呼ばれます。そのままにしておくと、皮膚のかゆみを感じる神経が過敏になり、少しの刺激でもかゆみを伴う「皮脂欠乏性湿疹」を起こしやすくなります。特に高齢者は冬場にすね(下腿)が乾燥しやすく、強いかゆみを起こすことがあります。
入浴時にゴシゴシ洗いすぎない、石鹸を使いすぎない、部屋を過度に乾燥させないなど生活面の見直しと、保湿剤を使ったスキンケアが重要です。
かゆみがあるときはステロイド軟膏を塗布して、症状を抑えます。

頭皮の湿疹

「脂漏性皮膚炎」と呼ばれ、頭皮だけでなく顔面やわきの下、陰部など、皮脂の分泌が盛んな部分にも起こることがあります。乳児期や思春期以降に起こりやすく、フケや黄色いかさぶた、カサカサした赤い発疹が見られます。
治療は適切な洗髪やステロイド外用薬の使用のほか、原因のひとつとされるマラセチア菌(皮膚の常在菌)に対応するため、抗真菌薬の外用剤やシャンプーも効果的です。

かぶれ(接触性皮膚炎)

外からの刺激やアレルギー反応で皮膚が炎症を起こす状態を「接触性皮膚炎」といいます。うるしやイチョウの実、ニッケルやコバルトなどの金属、シャンプーや石鹸、消毒液など、原因となる物質は多岐にわたります。特に顔にできる湿疹がなかなか治らない場合は、かぶれが原因かもしれません。
シャンプーや化粧品などを実際にお持ちいただき、パッチテストを行うことで原因を調べることをおすすめします。また、佐藤製薬のパッチテストパネルを使い、かぶれの原因を予測することも可能です。

タムシ

顔や体、手足にかゆみを伴う環状の赤い発疹ができる真菌感染症です。原因は白癬菌で、治療は抗真菌薬の外用が中心となります。また、「トンズランス感染症」と呼ばれる格闘技皮膚炎は、レスリングや柔道などの接触スポーツで感染しやすく、頭部を中心に他の部位にも広がりやすいのが特徴です。
頭皮に発疹がある場合は、6~8週間の抗真菌薬内服が必要となり、その間の運動は控えるようにします。

にきび(尋常性ざ瘡)

思春期の男女の90%以上が経験するとされる一般的な皮膚のトラブルです。男性ホルモンの影響による皮脂分泌の増加、アクネ菌の繁殖、毛穴のつまり、食事・便秘・睡眠不足などの生活習慣や遺伝的要因など、さまざまな要素が重なって生じます。顔だけでなく、胸や背中にも出ることがあります。
治療は生活習慣の見直しと薬物療法が柱で、ベピオやアダパレン、抗菌外用剤(ナジフロキサシン、ゼビアックス、クリンダマイシン)などを使用します。内服では、抗生剤(ミノサイクリン・ドキシサイクリンなど)、ビタミン剤(ピドキサールなど)、アミノ酸(ハイチオール)、漢方薬を併用することもあります。

皮膚がん

代表的なものに悪性黒色腫(メラノーマ)、ボーエン病、有棘細胞がん、基底細胞がん、光線角化症があります。ダーモスコピーというライト付き拡大鏡を使うと、ほくろとの区別や病変の状態を詳しく観察できます。
悪性黒色腫は転移しやすい高悪性度のがんで、ボーエン病は湿疹に似た皮膚症状が長引く場合に疑われ、ボーエンがんに移行することがあります。
いずれも基本的には切除が主な治療ですが、進行度によって放射線療法や抗がん剤が適用される場合もあります。
基底細胞がんは特に顔の中心部(鼻など)にできやすく、治療は切除です。
光線角化症は日光の当たる部分に赤いかさぶたが生じるのが特徴で、有棘細胞がんになることがあります。治療は切除やベセルナクリーム外用などを行います。

ほくろ

手のひらや足の裏にあるほくろは、ほかの部位よりもがん化のリスクが高いとされています。念のためダーモスコピーというライト付き拡大鏡を用いた診察を受けると安心です。

老人性イボ(脂漏性角化症)

高齢の方の皮膚に多く見られるイボで、治療は液体窒素療法を1~2週間ごとに繰り返すのが一般的です。

水イボ(伝染性軟属腫)

ウイルス感染によるイボで、ピンセットでつまんで取る治療を行います。痛みが苦手な方や小さなお子さんには、ペンレスという麻酔シールを使ってから処置をすることで、痛みを軽減します。

上記の内容はあくまで一般的な説明で、個々の症状や治療方針は患者さんごとに異なる場合があります。
詳しい診断や治療のご相談は、医師に直接おたずねください。