泌尿器疾患の例
前立腺肥大症
男性で50歳以上になると、前立腺が大きくなり、その中を通る尿道や膀胱を圧迫してしまうため、排尿困難や頻尿、残尿感、急にトイレに行きたくなる(尿意切迫感)などの症状が出ます。診断には、国際前立腺症状スコアー(IPSS)という問診票や尿検査、超音波検査で前立腺の大きさと残尿量を確認します。また、前立腺がんの可能性を調べるために血液検査でPSAを測定します。
前立腺肥大症と診断された場合は、まず内服薬で症状を改善できるか経過を見ますが、それで効果が不十分なときは、経尿道的前立腺切除術などの外科的治療を検討します。
前立腺肥大症と診断された場合は、まず内服薬で症状を改善できるか経過を見ますが、それで効果が不十分なときは、経尿道的前立腺切除術などの外科的治療を検討します。
神経因性膀胱
脳(脳血管障害、パーキンソン症候群など)や脊髄(腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など)、末梢神経の障害によって、膀胱にうまく尿をためられなくなったり、膀胱の収縮力が落ちて尿が出にくくなる病気です。問診、尿検査、エコー検査で残尿量などを行って診断します。
治療では、水分の過剰摂取や便秘、アルコールやカフェインを含んだ嗜好品の飲水、トイレや寝室の位置など生活環境の影響を考慮して行動療法や生活指導を行いながら薬物療法を進めます。効果がない場合は自己導尿などの方法を検討します。
治療では、水分の過剰摂取や便秘、アルコールやカフェインを含んだ嗜好品の飲水、トイレや寝室の位置など生活環境の影響を考慮して行動療法や生活指導を行いながら薬物療法を進めます。効果がない場合は自己導尿などの方法を検討します。
過活動膀胱
突然の我慢できないほど強い尿意が週1回以上起こり、頻尿を伴うときに疑われます。40歳以上の日本人では約12%の方にみられるとされ、過活動膀胱症状問診票(OABSS)と尿検査を行い、必要に応じて超音波検査で残尿量を測定します。
治療は、膀胱容量を増やすβ刺激薬や膀胱の異常な収縮を抑える抗コリン剤などの薬物療法と骨盤底筋群を鍛える骨盤体操(行動療法)を2ヶ月ほど試みます。これで改善がない場合は、干渉波・低周波による治療を1ヶ月行います。効果が見られないときはボツリヌス注入療法を試みる適応がありますので、高度医療機関へ紹介します。
治療は、膀胱容量を増やすβ刺激薬や膀胱の異常な収縮を抑える抗コリン剤などの薬物療法と骨盤底筋群を鍛える骨盤体操(行動療法)を2ヶ月ほど試みます。これで改善がない場合は、干渉波・低周波による治療を1ヶ月行います。効果が見られないときはボツリヌス注入療法を試みる適応がありますので、高度医療機関へ紹介します。
夜間頻尿
夜中に1回以上トイレに起きることを夜間頻尿と呼びますが、治療の対象となるのは夜間に2回以上起きる場合です。前立腺肥大症や過活動膀胱、夜間多尿症、睡眠障害などが原因となることがあります。まず前立腺肥大症や過活動膀胱の治療、就寝2時間前からの水分制限を行い、それでも改善しない場合は排尿日誌をつけてもらい、夜間の尿量が1日の尿量の33%以上だと夜間多尿症と診断します。
必要なら水分過剰摂取を控えたり、血液検査で腎臓や心臓の状態、血中Na(ナトリウム)濃度をチェックし、特に問題がなければ抗利尿ホルモン剤を少量から使用します。治療効果があれば定期的に血中Na濃度を測り、低ナトリウム血症を起こさないよう注意しながら、また毎日体重を測定して水分の過剰摂取による体重増加に気をつけながら内服を続けます。
必要なら水分過剰摂取を控えたり、血液検査で腎臓や心臓の状態、血中Na(ナトリウム)濃度をチェックし、特に問題がなければ抗利尿ホルモン剤を少量から使用します。治療効果があれば定期的に血中Na濃度を測り、低ナトリウム血症を起こさないよう注意しながら、また毎日体重を測定して水分の過剰摂取による体重増加に気をつけながら内服を続けます。
膀胱炎
女性は尿道が短く、肛門と近い位置にあるため、細菌が尿道から膀胱へ入りやすく膀胱炎にかかりやすいと言われています。排尿時痛や頻尿、残尿感、血尿などの症状が典型です。
尿検査で診断しますが、最近は抗生剤が効きにくい菌による膀胱炎も見られるために尿培養検査を行う事があります。
尿検査で診断しますが、最近は抗生剤が効きにくい菌による膀胱炎も見られるために尿培養検査を行う事があります。
前立腺炎
前立腺炎には慢性と急性があります。
・慢性前立腺炎は青年~壮年期によくみられ、会陰部痛、排尿時痛、下腹部痛、鼠径部痛、頻尿、残尿感など多彩な症状が出ます。原因ははっきりしないことも多いですが、尿検査や直腸診で診断し、キノロン系の抗菌剤やセルニルトン、漢方薬、α遮断薬を組み合わせて治療します。アルコールや辛いものを控え、前立腺を温めるため湯船にゆっくりつかる、会陰部を圧迫しない(自転車や長時間の座位を避ける)などの生活指導も大切です。数ヶ月かかる場合もあり、再発と寛解を繰り返すことがあります。
・急性前立腺炎は細菌感染で急に発症し、発熱、排尿痛、排尿困難、頻尿、血尿などが起こります。問診、尿検査、血液検査、直腸診、尿培養で診断し、抗菌剤の内服や点滴治療を行います。
・慢性前立腺炎は青年~壮年期によくみられ、会陰部痛、排尿時痛、下腹部痛、鼠径部痛、頻尿、残尿感など多彩な症状が出ます。原因ははっきりしないことも多いですが、尿検査や直腸診で診断し、キノロン系の抗菌剤やセルニルトン、漢方薬、α遮断薬を組み合わせて治療します。アルコールや辛いものを控え、前立腺を温めるため湯船にゆっくりつかる、会陰部を圧迫しない(自転車や長時間の座位を避ける)などの生活指導も大切です。数ヶ月かかる場合もあり、再発と寛解を繰り返すことがあります。
・急性前立腺炎は細菌感染で急に発症し、発熱、排尿痛、排尿困難、頻尿、血尿などが起こります。問診、尿検査、血液検査、直腸診、尿培養で診断し、抗菌剤の内服や点滴治療を行います。
尿道炎
尿道炎には淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎があります。淋菌性の場合、排尿時の痛みが強く、尿道から膿が出やすいのが特徴です。非淋菌性の尿道炎は、排尿時の違和感や症状があまりないこともありますが、尿道から透明な分泌液が出ることがあります。
原因にはクラミジアやマイコプラズマが多く、いずれも尿検査や尿培養で確定し、淋菌性なら抗生剤の点滴、非淋菌性なら抗生剤の内服で治療します。淋菌性尿道炎の30%は非淋菌性尿道炎を合併しています。
パートナーがいる場合は一緒に治療することが必要です。
原因にはクラミジアやマイコプラズマが多く、いずれも尿検査や尿培養で確定し、淋菌性なら抗生剤の点滴、非淋菌性なら抗生剤の内服で治療します。淋菌性尿道炎の30%は非淋菌性尿道炎を合併しています。
パートナーがいる場合は一緒に治療することが必要です。
膀胱がん
目で見て血尿が分かる(肉眼的血尿)とき、85%の確率で膀胱がんが関係する場合があります。
当院では尿検査、超音波エコー、尿細胞診(尿中の悪性細胞の有無)で調べ、さらに詳しい検査が必要な場合は高度医療機関へ紹介します。
当院では尿検査、超音波エコー、尿細胞診(尿中の悪性細胞の有無)で調べ、さらに詳しい検査が必要な場合は高度医療機関へ紹介します。
腹圧性尿失禁
お腹に力が入ったとき(重い物を持つ、走る、笑うなど)に尿が漏れる状態を腹圧性尿失禁といいます。
まずは骨盤体操と内服治療を行い、改善がなければ干渉波・低周波治療を試みます。骨盤内に微弱な電気を流して筋肉を鍛える治療で、副作用も少なく安全です。最初の3週間は週2回、その後は2週間に1回程度で治療を続けていきます。
まずは骨盤体操と内服治療を行い、改善がなければ干渉波・低周波治療を試みます。骨盤内に微弱な電気を流して筋肉を鍛える治療で、副作用も少なく安全です。最初の3週間は週2回、その後は2週間に1回程度で治療を続けていきます。
慢性腎臓病(CKD)
尿検査で蛋白尿が見られるときは、腎臓に炎症があるかもしれません。
運動後や疲労、ストレスでも蛋白尿が出ることがあるため、平常時の尿中の蛋白量やクレアチニン、赤血球の測定、血液検査で腎機能を詳しく調べます。慢性腎臓病が疑われる場合は、高度医療機関へ紹介します。
運動後や疲労、ストレスでも蛋白尿が出ることがあるため、平常時の尿中の蛋白量やクレアチニン、赤血球の測定、血液検査で腎機能を詳しく調べます。慢性腎臓病が疑われる場合は、高度医療機関へ紹介します。
上記の内容はあくまで一般的な説明で、個々の症状や治療方針は患者さんごとに異なる場合があります。
詳しい診断や治療のご相談は、医師に直接おたずねください。